総合病院の看護師に求められること

総合病院には様々な診療科がありますが、各診療科の専門性が高い大学病院ほど細分化されていません。また、総合病院の看護師は、診療科間の異動が行われるため、1つの診療科に長期間にわたり留まることがないと言えるでしょう。したがって、総合病院の看護師は、退職しない限り、あらゆる診療科で実務をこなせるスキルを身につけなければなりません。1つの診療科だけに通用する医療スキルを習得していたのでは、異動の際に戸惑うことになるでしょう。幅広い医療分野で対応できる医療技術を習得した看護師のことを、ジェネラリストと呼びます。ジェネラリストの対立概念は、特定の医療分野に関する専門的スキルを身につけたスペシャリストということになります。

スペシャリストの育成については、認定看護師や専門看護師などの専門性の高い資格を様々な分野に設けていますが、その一方でジェネラリストの育成につき特別な資格はありません。あえて言うなら、認定看護師の救急看護分野は、交通事故など身体の損傷が全身に及ぶ事例にも対応できるジェネラリストの側面を持つと言えるかもしれません。総合病院で長く働きながら、様々な医療分野の医療技術を学べる研修に参加して、ジェネラリストを目指す向上心の強い看護師もいます。しかしながら、外部研修に参加するためには、参加費を捻出したり仕事を休んだりしなければなりません。こうした看護師を支援するため、勤務日を削って研修に参加させたり、研修費用を負担したりする総合病院もあります。総合病院にとって、ジェネラリストの育成は、喫緊の課題と言えるでしょう。